個展
Gamli Skóli
2026.10.16(fri)-31(sat)
12:00-18:00
Closed: Sun, Mon & Holidays
〒106-0032 東京都港区六本木7-18-8 岸田ビル2F

去年の秋口から春先にかけて、私はアイスランドという国にいた。そこで過ごした長いひと冬の、初めて体感する光、時間、空気は、自分の制作に新たな展開をもたらしてくれた。私は暗く長いトンネルをやっと一つ抜けた気がして、安堵と喜びの中でたくさんの絵を描いた。
風に揺れる木々、遠く消えていく道、食卓の隅。モチーフはいつも、なんの変哲もない、しかし何か気になる風景である。それらを絵にした時、この世にどういう形で存在し直すのか見てみたくてこれまでも描いてきた。今回の滞在を経て、より高い純度で絵に向き合えるようになった気がする。
今回の展示は滞在中に制作した作品で構成されている。私が滞在したレジデンスは北部に浮かぶ人口百人程の離島にあった。かつての学校を改築した施設であり、アイスランド語で「Gamli Skóli」(ガムリ スコゥリ)という名が付いている。英訳は「Old School」、そのまんま「古い学校」である。また、この言葉は「古風な・昔かたぎな」といった意味も持つ。現代絵画というジャンルに身を置きながら、油彩で風景を描くというスタイルに執着し、今後もそれにこだわり続けるであろう自分に合っている気がして、展示タイトルとして拝借した。
小穴 琴恵
Gallery’s Note
ギャラリーで小穴さんと打ち合わせをし、ポートフォリオと実際の作品を拝見しました。見ているうちに、風景が小穴さんの目を通り、一枚の絵になるまでの道筋を、少し辿れたような気がしました。
日々、目にする景色のほとんどは、そのまま通り過ぎていきます。それでも、なぜか気にかかり、あとまで残る場所がある。風に揺れる木々や、遠くへ消えていく道。描く風景にも、そうした出会いがあるのだと思います。
ある場所を描くことには、その場所が自分にとって何だったのかを、時間をかけて知っていくようなところがあります。小穴さんが文章に記している、風景が絵として「存在し直す」という言葉も、その日の印象と重なりました。見慣れたものが、一人の人間の目と手を通って、改めてこの世に置かれる。その過程に触れたように感じたのです。
通り過ぎた風景が、今度は絵となって、私たちの前にあります。かつて彼女が足を止めたところで、今度は私たちが足を止める。そんなふうに一枚の絵を介して、見知らぬ場所や、そこで過ごした誰かの時間に出会うことができます。
CLEAR GALLERY TOKYO 大谷徹