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​水戸芸術館企画

Coffee & Art vol.05 featuring 小穴琴恵

 

201111/15(sat.) - 2016/1/17(sun.)

各店舗の営業時間に準ずる

水戸市内のカフェ5店舗

​水戸駅から水戸芸術館のあいだにある5つの飲食店に、水戸芸術館現代美術センターの学芸員が選んだ若手作家の作品を展示する企画展。

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歩く、という行為を見習って絵を描きたい。よそ見をしながら進んでもいいし歩幅も自由だが、歩いている以上は体を動かし、時間を消費しながらどこかへ移動し続ける。見える景色も変化し続ける。私は近頃自分が絵を描くきっかけのひとつに、目の前の好きなものを(その後モチーフとして扱うようになるもの)を独占したいという気持ちがあることに気がついたのだが、実はその欲求も書いてるうちにあまり重要ではなくなってしまう。あくまできっかけはきっかけにすぎず、歩き始めると描かれつつある絵への興味によってモチーフへの関心は薄れていく。私が絵を描くうえで頼りにしているものは「視覚」と「体」と「勘」だが、モチーフを選ぶ段階でそれらは働いているのか、またそれらは絵の中でどう関係し働いていくべきなのか。未だ考え中でその答えは出ない。だからなるべく歩き続け、シンプルに移動の集積を絵に残すこと。それがいま私が一番信じて行っている絵のやり方です。(2015.10小穴琴恵)

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小穴琴恵は、自身の観た光景をもとに、軽やかな、それでいて力強い筆致と、暗色のなかに明るさを見出す独特な色彩感覚で絵画を製作している。彼女は日々目にする光景を、視覚のみならず身体、そしてその感性を駆使して画面へと書き止めようとする。《川に映る映像》(2015)は、彼女がテレビで見たある場面をモチーフに描いたものだという。画面下半分を爽やかな水色が覆い、上部には黒を、あいだに異なるマチエールの黄色い三角形と円形が接し、その三角形の頂点から右側へ、青色が黒と交差しながら、こぼれ落ちるように黄色い地平へと溶け込んでいく。小穴の見た光景は、描き進められるうちに彼女の目に映るものから離れ、抽象性を獲得し、次第に彼女が描く色彩へと変換されていく。小穴は描くモチーフのかたちや色を超え、モノがモノであり、なくなる瞬間を掴み取ろうとする。それは小穴が絵画そのものと向き合うための手段なのだろう。「絵画はそれ以上でもなく、それ以下でもない。絵画を絵画として完結させたい」と言い切る彼女の筆致に迷いはない。(水戸芸術館現代美術センター学芸員 井関悠)

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