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個展

無関心の梱包

 

2014/4/24(fri.) -5/8(fri.)

11:00 - 19:00( 最終日17 時)

nada art gallery

東京都中央区銀座7-12-5 銀星ビル7F

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2015年4月24日(金)より小穴琴恵による展覧会「無関心の梱包」を開催します。

 我々は何気なく目にするスーパーのオレンジに、「フルーツ」、「酸っぱい」、「カリフォルニア産」、「90円」などの性格を持つ「オレンジ」というイメージを想起する。その「オレンジ」というイメージ越しに見える、今そこにあるオレンジは機械的なラベル付けによって認識される偶然的な対象物に過ぎない。イメージのラベルが実体に、オレンジがその影となり、我々はオレンジ自体を見ることなく、それに触れ、購入し、食べるのが日常である。オレンジに限らず、前を歩く女性の髪も、車のウインカーも、周囲のあらゆるモノがラベルの付随物になってしまう日常において、モノそれ自体を抜き出そうとするのが小穴琴恵の絵画である。

 小穴琴恵の絵画には、無関心とも言うべき視線がある。把握・所有の欲望から解放された彼女の眼差しが、モノと人の間にあったイメージを取り除き、その距離を縮めている。小穴琴恵の絵画には距離が見えない。近さと遠さを測ることのできない空間にピンで留められているかのように、モノが宙に浮かんで見える。キャンバス上には、遠近感も透明感もない圧縮された濃密な空間が、そして色と形の連続を美的に捉えようとする人間主観的視線も届かないような場所が、開かれる。小穴琴恵はこの描く行為を「梱包」に例えている。モノを描く=「モノを抜き出しつつ梱包する」と。梱包されたモノは手元にあっても、目の届かない梱包の内側、しかも心の中では既にどこかに向けて送り出されている状態にある。この「梱包」によって、モノは絵具に再現されるのではなく、絵具に覆い隠され、「見る/見られる」の関係性の彼方、人間主観的世界の彼方に送り出されることになる。この彼方において、無関心という言葉は、関心の欠如を意味する(独)un-inter-essiert (無-間-在)ではなく、関心という関係性の中から脱出することを示す(独)des-inter-essiert(脱-間-在)となる。小穴琴恵はモノと無関心な(uninteressiert)視線とを梱包し、関係性の彼方に送り出すことによって、モノと人間/視線を脱関心状態(desinteressiert)に、つまり主体-客体関係が解消された距離0(ゼロ)の状態を実現させている。モノをそれ以上でもそれ以下でもなく捉え、見ること描くことに真摯な態度を貫く小穴琴恵の絵画を是非この機会にご覧ください。(nada art gallery)

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